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2019年4月24日(水)

《ぴあ×チャンネルNECO》強力コラボ 【やっぱりNECOが好き!】更新しました!

ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第100弾!!
昭和の時代の空気感を今に伝える実録人間ドラマ

新しい元号も決まり、なんだかんだと2020年の東京五輪に向けて歩みはじめ、街も社会も奇麗に塗り替えられていく昨今。猥(わい)雑だが、人々が欲望むき出しでエネルギッシュに生きていた昭和が無性に懐かしく感じる時がある。

そう感じていた時に、ドンピシャな番組が今によみがえる。’81年にテレビ朝日系で放送された実録再現ドラマ「ドラマ・人間」シリーズを、映画・チャンネルNECOで5月から5カ月にわたって全10回を放送。同シリーズが一挙放送されるのは、初回の’81年以来、実に38年ぶり。パッケージ化もされていないというから、まさに幻の番組だったというワケだ。

各回のタイトルを聞いただけで、グッとひきつけられるものがある。犯人が黒澤明監督の名作「天国と地獄」(’63)を参考に身代金請求したという、’80年に起こった「名古屋・女子大生誘拐殺人事件」を皮切りに、借金の穴埋めをするために父子がふらちな行動に走った’73年の「大阪ニセ夜間金庫殺人事件」、さらに、被害者にご丁寧に防犯予防の説教までして金を奪った妻木松吉事件がもととなった「’81年型説教強盗」などなど。現場で何が起こっていたのか? 想像をかき立てられる事件・エピソードがズラリと並んでいる。

思えば当時、映画もドラマも実録モノが多かった。火付け役は、ナレーター小早川正昭の「新聞によりますと…」の事件解説で知られる日本テレビ系「テレビ三面記事 ウィークエンダー」の再現ドラマだ。タイトル通り、B級ニュースを面白おかしく伝えるニュースバラエティーでエロ・グロ有り。家族そろったお茶の間で、男女の痴情のもつれを赤裸々に見せ、当時の子どもたちは親の顔色をうかがいつつ視聴した。はっきり言って内容より、ドキドキしていた当時の自分の感情の方をより鮮明に覚えているくらい。“コンプライアンス”なんて言葉がなかった時代の、TVの良き思い出だ。

だが当事者たちにとって再現ドラマは生々し過ぎたようで、批判も多かったようだ。そこで真摯(しんし)に事件を検証し、より人間にフォーカスした番組をと、誕生したのが「ドラマ・人間」シリーズだ。制作はテレビ朝日、国際放映とともに東映が携わり、「~【名古屋・女子大生誘拐殺人事件】」にはドラマ「特捜最前線」の佐藤肇、「~【息子よ!母の乳房を撮りなさい】」には石原裕次郎&吉永小百合共演映画「若い人」(’62)の西河克己ら気鋭監督が演出を担当。脚本は、「~【名古屋・女子大生誘拐殺人事件】」を「トラック野郎」シリーズの 掛札昌裕、「~【大阪ニセ夜間金庫殺人事件】」は映画「女囚さそり」シリーズの監督である伊藤俊也が手掛けているというぜいたくさ。さらに新興宗教「~【イエスの方舟事件】」では、主宰者の千石剛賢を昭和の二枚目スター・岡田英次が演じている意外さ。同事件を扱ったドラマといえば、ビートたけし主演の池端俊策版が知られるが、ぜひ比較して視聴したいところだ。

異色なのは社会的事件だけでなく、話題の人物と生きざまの両方に着目している点だ。その一つが、体育教師が指導中の落下事故により首から下が完全まひする重度の身体障害者となった「~【愛・深き淵より】 」。モデルとなったのは現在も詩人・画家として活躍中の星野富弘さん。星野さんは海外でも個展を開催し、今や故郷の群馬県みどり市に富弘美術館を開館するまでに至った。そこにはどんな苦悩があったのか。本作を見れば、彼の作品をより深く理解することができるだろう。

そのドラマ版で星野さんを演じるのは、ウルトラマンタロウこと篠田三郎。そして主治医役がフランキー堺、母親役が 初井言榮で、2人ともすでに鬼籍(きせき)に入った。昭和への郷愁とともに、今は亡き名優たちの演技がまた、目頭を熱くさせるのであった。


中山治美(ライター)

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