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《ぴあ×チャンネルNECO》強力コラボ 【やっぱりNECOが好き!】更新しました!

2018.06.25

ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第90弾!!
裕チャン初期出演作のミュージカルをTV初カラー放送!

また、この季節がやってきた。日活が運営する映画・チャンネルNECOの7月の特集は、7月17日に命日を迎える昭和の大スター・石原裕次郎の初期作品、しかも今となっては希少価値の高いミュージカル映画3本(「お転婆三人姉妹 踊る太陽」「ジャズ娘誕生 【デジタル復元版】」「素晴しき男性」)を一挙、お届けする。

中でもレアなのは、あの天才歌手・江利チエミと共演、TV初カラー放送となる春原政久監督の「ジャズ娘誕生~」だ。公開は’57年4月、まだまだ白黒フィルムが圧倒的に多かった時代に、国産三原色カラーシステム“コニカラー”で撮影、鮮やかな“総天然色”をうたった映画であった。が、プリントが退色し、長らくモノクロ版でしか観ることができなくなっていたところ、そのきらびやかな映像を最新技術で見事復元! 後に「銀座の恋の物語」(’62年/監:蔵原惟繕)でも組んだ二人の若き肢体、一挙手一投足が、素晴らしい解像度で再現されている(カメラマンは名手・姫田眞左久(しんさく)。著書「姫田眞左久のパン棒人生」に“コニカラー”について記述あり)。

主演はチエミが務め、舞台は伊豆からスタート、ツバキ油売りの彼女が東京の大劇場へと立つまでの“スター誕生”物語が描かれてゆく。前年にスクリーンデビューした、まだ初々しい裕チャンはジャズ楽団の“顔”で、専属シンガーという役柄。巡業で大島を訪れ、ヒロインと出会い、心惹(ひ)かれながらもアンビバレントな感情をにじませる。劇中、チエミがその魅惑のハスキーボイスを聴かせれば、裕チャンもムーディーなナンバーで応対し、これがとってもぜいたく! ちなみに画面の隅々へ目を配ると、楽団の一員に歌手の西田佐知子(新人時代でクレジットは西田佐智子)、またダンサーの中には“おひょいさん”こと藤村俊二や、後年、暗黒舞踏の創始者として知られることになる土方巽の姿も。

さて、順番からすれば、先に助演した「お転婆三人姉妹 踊る太陽」(本作も元はコニカラーで撮影された)は’57年1月、そして主演の「素晴しき男性」は’58年7月に封切られており、共に和製ミュージカル映画の第一人者・井上梅次監督の手によるものだ。この時期、“歌うスター”でもあった石原裕次郎はアクション物と並行して、ハリウッド製ミュージカルをお手本とした意欲的な作品にも必要不可欠な存在であったのだ。

「ジャズ娘誕生~」に登場するレビューシーン、「ジャンバラヤ」「ブルームーン」といったスタンダードな洋楽を披露するチエミの歌唱力も凄いが、木村威夫、佐谷三平(晃能)による大掛かりな美術セットも垂涎(すいぜん)もの。「雨に唄えば」(’52年/監:ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン)、「バンド・ワゴン」(’53年/監:ヴィンセント・ミネリ)など、“ミュージカル映画のマスターピースへの憧(あこが)れ”を形にしたこの作品、早すぎた「ラ・ラ・ランド」(’16年/監:デイミアン・チャゼル)とも言えるかも。チエミの「わたしゃ大島油売り」で幕を開け、「雨降る町を」から裕チャン担当のジャジーかつアダルティな(日活お得意の)無国籍なシークエンスナンバーでつなぎ、チエミの十八番「カモンナ・マイ・ハウス(家へおいでよ)」で大団円を迎える終盤の連続レビューは圧巻、“至福の時”が刻まれている。

轟夕起夫(映画評論家)

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