ログインするとリマインドメールが使えるYO!


新着情報

INFORMATION

2018年10月24日(水)

《ぴあ×チャンネルNECO》強力コラボ 【やっぱりNECOが好き!】更新しました!

ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第94弾!!
アイドル映画としても楽しめる、大林監督版BJ!

’18年は手塚治虫の生誕90周年に加えて、「ブラック・ジャック」が「週刊少年チャンピオン」にて連載を開始してから45周年というアニバーサリーイヤーである。無免許の天才医師の活躍を描いた「ブラック・ジャック」は、医療漫画のパイオニア的作品であり、後期手塚最大のヒット作。当然ながら映像化もさかんに行われてきたが、その記念すべき第1作となったのが、大林宣彦監督が手掛けた’77年公開の実写映画「瞳の中の訪問者」だ。

ベースになっているのは「春一番」という20ページの読み切り。これを大林流の味付けでふくらませている。ブラック・ジャックに抜てきされたのは宍戸錠。ほっぺたの存在感はそのままに強烈な印象を残してくれるが、あくまで本作の主役は片平なぎさが演じる華麗な少女・千晶。片平なぎさは公開当時まだ18歳で、クラクラするほどの美少女ぶりを見せつけてくれる。また千晶の友人・京子を演じた志穂美悦子も、山本彩(NMB48)ばりのアイドルフェイスでめちゃくちゃキュートだ。

そんなWヒロインのサービスシーンがたっぷり盛り込まれているあたり、さすがは若手女優を美しく撮ることにかけては右に出る者のいない大林監督。わかってらっしゃる! なにせ2人がテニス部という設定からして原作にはないオリジナル。片平×志穂美ペアのテニスウエア姿は、現在でもアイドルとして堂々と通じる健康的なセクシーさに満ちている。

一方、映画全体を覆うムードは、同年に公開された大林監督の商業映画デビュー作「HOUSE ハウス」で成功した美少女ホラーテイストを継承。本作では、月丘夢路、長門裕之、檀ふみ、千葉真一、ゴダイゴといった時の大スターが次々にチョイ役で出てくるのも目に楽しい。

ストーリーはシンプルなミステリーだが、千晶の目に映る謎の男を峰岸徹が怪演し、画面をキリリとシメてくれる(峰岸は’82年の大林作品「ねらわれた学園」でも星の魔王子を怪演しております)。

アンニュイすぎるピノコや重要なシーンで突然ヒョウタンツギが出現するなど、手塚ファンがニヤリとする箇所も多数。徹底したエンタメで最後まで楽しませてくれるサービス精神旺盛な映画だ。食わず嫌いをしていたらもったいない!

さて、この「瞳の中の訪問者」を含め、これまで「ブラック・ジャック」の実写版は計5作品発表されている。’81年には加山雄三主演のTVドラマシリーズ、’96年には隆大介主演のOVシリーズ、’00年には本木雅弘主演の単発ドラマ版3作、’11年には岡田将生主演でエピソードゼロ的な単発ドラマが制作された(このうち、11月の映画・チャンネルNECOでは、「瞳の中の訪問者」を初のHDリマスター版で放送するほか、本木雅弘主演の単発ドラマ版3作をラインナップ)。

一方、アニメの「ブラック・ジャック」も出﨑統が監督した’93年スタートのOVA版を筆頭にクオリティの高いシリーズがズラリ(同チャンネルでは出﨑統監督版10作品のほか、桑原智監督版、西田正義監督版のOVA全12作品や、「劇場版 ブラック・ジャック」を放送)。“イリーガルな手術を高額報酬で請け負う異様な風体の闇医者”という強固なキャラクターがドンと鎮座しているので、オリジナルストーリーを展開しやすい反面、演出者の手腕が試される作品、それが「ブラック・ジャック」なのだ。


奈良崎コロスケ(ライター)

ページの先頭へ


2018.09.25

ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第93弾!!
山田孝之35歳の誕生日に、あの伝説の番組が再び!

誕生日に、CSで特集が組まれる俳優がいるだろうか?

10月20日に35歳を迎える俳優・山田孝之。型破りな山田に対抗すべく(?)、映画・チャンネルNECOも35時間ぶっ通しで「山田孝之35」と題して出演作を放送する手厚い祝福ぶりだ。ラインナップがこれまたすごい。九州男児の凛々しさと抜群の運動神経を世界に轟かせた時代劇「十三人の刺客」(’10)から、原作漫画ファンもナットクの強面の金融会社社長姿が板に付いていた「闇金ウシジマくん」シリーズ、そして劇場ではなぜか3Dを用いて山田を深掘りした「映画 山田孝之」(’17)まで。この機会に山田孝之という俳優を解体しようものなら、ますます困惑するに違いない。

中でも特筆するべきは’17年10月6日深夜に、テレビ東京系で緊急生放送して世間をざわつかせた「緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ」だ。山田の周辺で数々の不思議な現象が起こっていることを聞きつけたタレント・いとうせいこうが旗振り役となり、生放送で山田が視聴者に向かって元気を送るという実験を行った前代未聞の番組だ。

当初は「山田孝之の演技入門」を放送する予定だったことから、スタジオでは映画「CASSHERN」の紀里谷和明監督、小池栄子、松岡茉優がスタンバイ。するとどうだ! Twitterなどで続々と「10年間止まっていた時計が反時計回りをし始めた」とか、「ネコがワンと吠えた」とか、「不眠で悩んでいた夫が眠った」などの奇跡情報が寄せられたのだ。山田孝之、恐るべし。

番組の仕掛け人は、「山田孝之の東京都北区赤羽」「山田孝之のカンヌ映画祭」、そして「映画 山田孝之」でスクラムを組んできた山下敦弘&松江哲明監督。リアルか? フェイクか?のギリギリの線を狙った演出で、キャスティングから企画までとかく予定調和になりがちな番組作りにNOを突きつけてきた。それは間違いなく、視聴者離れとコンプライアンス問題で萎縮しがちだったTV業界に刺激を与える試みだった。

その中心にいるのが、山田だ。

16歳で俳優デビューした当初は、その美少年ぶりを生かしてドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」や「白夜行」、映画「電車男」と胸キュン青春もので活躍していた。転機となったのは、三池崇史監督のヤンキー・アクション映画「クローズZERO」シリーズ。小栗旬、桐谷健太、綾野剛、上地雄輔ら注目の若手俳優が、舞台裏でも劇中さながらの火花散る“競演”が予想される中、山田は誰よりも肉体を鍛え上げてきたという逸話が残っている。山田は他の俳優よりも小柄であることから、「百獣の王」の異名を持つ芹沢多摩雄役を演じるにあたって説得力を持たせるために、見た目から変貌を遂げてきたという。その気迫とアクションシーンでの破壊力は群像劇の中でも際立ち、女性はもちろん男性たちが「山田孝之、すげー」と平伏した。

以降、自己プロデュース能力が覚醒。映画「その夜の侍」(’12)でひき逃げ事件の犯人を演じた次に、映画「凶悪」(’13)では真逆の、凶悪事件の加害者の心理に迫っていく雑誌記者役を選んだ。デビュー15年目にして挑んだ初舞台も、どうせやるなら皆を驚かせたいと、失業中の元工場労働者たちが男性ストリップ・ショーで一攫千金を狙う「フル・モンティ」(’14)に挑み、劇場に詰めかけた観客に“笑撃”を与えた。

ほか、コスプレ姿も愛らしい「勇者ヨシヒコ」シリーズに、とぼけた味わいの「ジョージア」のCM、ファンを公言していた水曜日のカンパネラのMV「小野妹子」でまさかの小野妹子役で登場するなど、俳優・山田孝之という器を使って創造の世界で自由に羽ばたき、ファンを良い意味で裏切り続けることに喜びを感じているようだ。

そして、’19年1月26日(土)公開の映画「デイアンドナイト」でついにプロデューサーとして堂々と作品を世に出すという。全貌はまだ見えていないが、「善と悪はどこからやってくるのか」をテーマにしたシリアスな物語らしい。公開を前に映画・チャンネルNECOでは制作の舞台裏を追った全6回の番組が放送されている。そこで初めてクリエーターとしての山田の素顔が明かされるのか…。

ちなみに「~山田孝之の元気を送るテレビ」内でスピリチュアルカウンセラーのりかちゃん先生いわく、山田は「愛の星から来た大変態の宇宙人気質」らしい。なのでやはり、たかがか35時間でひもとこうなんてのはムダ。ここは脳を無にして、とことん山田ワールドを楽しむが賢明のようだ。

中山治美(ライター)

ページの先頭へ


2018.08.24

ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第92弾!!
“世界のクロサワ”も認める天才監督が遺した貴重作!

昭和初期から戦中にかけて活躍、当時だけでなく今なお“天才”と呼ばれ続ける監督がいる。その名は山中貞雄。惜しくも中国戦線で病死したのだが、2018年は彼の没後80年、メモリアルイヤーにあたる。

天才は天才を知るのだろう、山中貞雄と同世代で、今年没後20年を数える “世界のクロサワ”こと黒澤明監督はこう語っている。「(略)すごい才能なんだヨ。本当に早く亡くなっちゃって日本映画の大きな損失だね」(黒澤和子編「黒澤明が選んだ100本の映画(文春新書刊)」)。

黒澤がくだんの本の中で取り上げていたのは、山中貞雄の代表作のひとつ、26歳のときに発表した「丹下左膳余話 百万両の壺」(’35)だ。時代劇の大スター、大河内傳次郎の当たり役、隻眼隻手(せきがんせきしゅ)のチャンバラヒーロー・丹下左膳が主人公なのだが、タイトルが示すごとく余話、番外編のような作りで、なんと左膳は矢場に居候中の用心棒、しかも女将の尻に敷かれている。このきっぷのいい女将・お藤姐さんを演じたのは、芸者からスター歌手となった喜代三(きよぞう)で、劇中、三味線を爪弾き、粋な小唄も披露する。この二人の掛け合いがめちゃくちゃ楽しく、映画はユーモアたっぷりにテンポよく進んでゆく。

さて左膳とお藤は、ひょんなことから孤児ちょび安の親代わりを務めることになり、少々浮かれ気味に。一方、くず屋からもらった壺を金魚入れに使っていたちょび安、実はその壺には「百万両の隠し場所」を記した図面が塗りこめられていて……と、外国映画にも精通していた山中貞雄は、単なるチャンバラヒーロー物にはせずハリウッドのコメディテイストを巧みに換骨奪胎、しかも「髷(まげ)をつけた現代劇」とも言うべきモダンなホームドラマに仕上げてしまったのだ。まさに天才ワザ!

戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の検閲によって後半のチャンバラシーンがカットされてしまったのだが、それでも山中貞雄の類いまれなる才能の片鱗は残っている。左膳とちょび安をチンピラが襲うシーン。左膳は言う。「おい安、目をつぶっていな。十数えるんだ。目を開いちゃいけねえぞ」と。そして、ちょび安の声に合わせてカットが細かく変わり、スリリングさを増していき、一瞬の勝負……また、この緊迫した場面を最後のやりとりで笑いに転換してみせる計算された“演出”がスゴイのだ。

わずか28歳10ヵ月で早逝した山中貞雄の監督作は20数本あるのだが、この「丹下左膳余話 百万両の壺」と「河内山宗俊」(’36)、「人情紙風船」(’37)と3作しかフィルムが現存しておらず、これは本当に貴重な一本。“世界のクロサワ”にも影響を与え、さらにはあの国民的コミック「ONE PIECE」の作者・尾田栄一郎も大好きだという、日本映画史に燦(さん)然と輝くエンタメ傑作を観逃すなかれ。

轟夕起夫(映画評論家)

ページの先頭へ


2018.07.24

ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第91弾!!
恐怖あり、笑いあり(!?)なJホラー二大ヒロインの直接対決!

映画ファンの妄想の一つに「もし○○と××が戦ったら?」がある。代表例が「エイリアンVSプレデター」(’04)、そして二大怪獣王が戦った「キングコング 対 ゴジラ」(’62)だろう。そのホラー版と言えるのが「貞子 vs 伽椰子」だ!

山村貞子といえば’98年に公開された鈴木光司原作、中田秀夫監督の「リング」に登場した怨霊。あまりに強力な超能力を持っていたために養父によって井戸に沈められた。その恨みが込められた“呪いのビデオ”を見た者は一週間後に死ぬ。助かる方法は唯一、ほかの誰かに呪いのビデオを見せること。対する佐伯伽椰子は、’00年にビデオ発売された清水崇監督の「呪怨」に登場する幽霊。嫉妬した夫に惨殺された伽椰子はひとり息子の俊雄とともに怨霊化し、旧佐伯邸にかかわる者を呪い殺していくが、困ったことに助かる手立てはない。もしそうなったらあきらめて「痛くしないで」と言うしかない。

貞子と伽椰子、ジャパニーズ・ホラーを代表するホラー・モンスターでありホラー・アイドル。白い服にロングヘアーとファッションセンスに共通点はあるが、性格はかなり違う。貞子は意外と親切で、呪いのビデオを見た者にわざわざ電話をかけて呪ったことを報せてくれる。ただし無言電話だったり(原作やハリウッド版では「7日後」と死ぬ日までご丁寧に教えてくれるが)、顔を長い髪で隠していたりとちょっとシャイな女の子。伽椰子は人を差別しない平等主義者で、旧佐伯邸にかかわった人をもれなく呪い殺す。夫に喉をカッターで切り刻まれたためにうめき声しか出ないので、人とのコミュニケーションがちょっと苦手な人妻だ。

本作はそんな二大ヒロインを戦わせるというぶっ飛んだ内容だが、きちんとホラーの定石は守っている。呪いのビデオ=見なければいい。呪われた家=行かなければいい。なのに倉橋有里(山本美月)と上野夏美(佐津川愛美)はビデオをすぐ見るし、高木鈴花(玉城ティナ)も呪われた家に行ってしまう、それも深夜に。これがホラーのお約束。

シリーズも長くなると、同じキャラクターでも段々と変化していくのが常で、貞子たちも変化を見せている。「リング」第1作では貞子が呪った相手をどうやって殺すのか、実は一度も描かれない。姿を見せるのもラストだけ。しかし「貞子3D」で、ついに髪の毛を使った攻撃方法だったことが明らかになる。対する伽椰子も、最初は相手をあっちの世界(どこ?) に引きずり込むだけ。しかし、作品を重ねるごとに陰湿さがヒートアップし、お風呂で髪の毛を洗っていると、いつのまにか伽椰子の手が増えている(シャンプーを手伝っているのかもしれないが、声が出ないので「かゆいところはありませんか?」と聞けないところがつらい…)など、地味に怖い攻撃を繰り出してくる。映画・チャンネルNECOでは8月15日と16日に「『リング』『呪怨(劇場版)シリーズ』絶叫オールナイト」で過去作も放送されるので、そんなキャラクターの変遷を見比べるとおもしろいかもしれない。

そんなふたりの夢の対決が実現した本作のポイントは、バランス感覚のよさだ。貞子側、伽椰子側と交互に平等に描くストーリーはもちろん、最も見事なのが恐怖と笑いのバランス。実は恐怖と笑いは紙一重なのだが、この采配が絶妙だ。呪われた人の死に方がとにかくスゴイ。貞子を除霊しようとした霊能者たちが壮絶な死に方をするのだが、少々ムチャすぎ。それも3連発! 悲劇も3度続けば喜劇なのだ。

そして霊能者の常盤経蔵(安藤政信)が登場し、それぞれ語られてきた物語が融合する中盤から一気にヒートアップ。呪った相手をもれなく殺してきた貞子と伽椰子だが、ここからはまさに「キングコング 対 ゴジラ」で、強敵同士を戦わせて共倒れさせようというのだ。でも世界観も設定も違う上に、貞子はビデオとTVがないと出てこられないし、伽椰子は旧佐伯邸に引きこもりっぱなし。なのに、どうやって戦わせるのか? それは見てのお楽しみ!

「貞子vs伽椰子」は「リング」と「呪怨」の2本分の恐怖が一度に楽しめて、ところどころ笑えて、山本美月や玉城ティナたち美少女の恐怖に怯える表情が見られるというお得な1本だ。この夏、あなたも呪われてみませんか?

竹之内 円(ライター)

ページの先頭へ


2018.06.25

ぴあ×チャンネルNECO強力コラボ連載第90弾!!
裕チャン初期出演作のミュージカルをTV初カラー放送!

また、この季節がやってきた。日活が運営する映画・チャンネルNECOの7月の特集は、7月17日に命日を迎える昭和の大スター・石原裕次郎の初期作品、しかも今となっては希少価値の高いミュージカル映画3本(「お転婆三人姉妹 踊る太陽」「ジャズ娘誕生 【デジタル復元版】」「素晴しき男性」)を一挙、お届けする。

中でもレアなのは、あの天才歌手・江利チエミと共演、TV初カラー放送となる春原政久監督の「ジャズ娘誕生~」だ。公開は’57年4月、まだまだ白黒フィルムが圧倒的に多かった時代に、国産三原色カラーシステム“コニカラー”で撮影、鮮やかな“総天然色”をうたった映画であった。が、プリントが退色し、長らくモノクロ版でしか観ることができなくなっていたところ、そのきらびやかな映像を最新技術で見事復元! 後に「銀座の恋の物語」(’62年/監:蔵原惟繕)でも組んだ二人の若き肢体、一挙手一投足が、素晴らしい解像度で再現されている(カメラマンは名手・姫田眞左久(しんさく)。著書「姫田眞左久のパン棒人生」に“コニカラー”について記述あり)。

主演はチエミが務め、舞台は伊豆からスタート、ツバキ油売りの彼女が東京の大劇場へと立つまでの“スター誕生”物語が描かれてゆく。前年にスクリーンデビューした、まだ初々しい裕チャンはジャズ楽団の“顔”で、専属シンガーという役柄。巡業で大島を訪れ、ヒロインと出会い、心惹(ひ)かれながらもアンビバレントな感情をにじませる。劇中、チエミがその魅惑のハスキーボイスを聴かせれば、裕チャンもムーディーなナンバーで応対し、これがとってもぜいたく! ちなみに画面の隅々へ目を配ると、楽団の一員に歌手の西田佐知子(新人時代でクレジットは西田佐智子)、またダンサーの中には“おひょいさん”こと藤村俊二や、後年、暗黒舞踏の創始者として知られることになる土方巽の姿も。

さて、順番からすれば、先に助演した「お転婆三人姉妹 踊る太陽」(本作も元はコニカラーで撮影された)は’57年1月、そして主演の「素晴しき男性」は’58年7月に封切られており、共に和製ミュージカル映画の第一人者・井上梅次監督の手によるものだ。この時期、“歌うスター”でもあった石原裕次郎はアクション物と並行して、ハリウッド製ミュージカルをお手本とした意欲的な作品にも必要不可欠な存在であったのだ。

「ジャズ娘誕生~」に登場するレビューシーン、「ジャンバラヤ」「ブルームーン」といったスタンダードな洋楽を披露するチエミの歌唱力も凄いが、木村威夫、佐谷三平(晃能)による大掛かりな美術セットも垂涎(すいぜん)もの。「雨に唄えば」(’52年/監:ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン)、「バンド・ワゴン」(’53年/監:ヴィンセント・ミネリ)など、“ミュージカル映画のマスターピースへの憧(あこが)れ”を形にしたこの作品、早すぎた「ラ・ラ・ランド」(’16年/監:デイミアン・チャゼル)とも言えるかも。チエミの「わたしゃ大島油売り」で幕を開け、「雨降る町を」から裕チャン担当のジャジーかつアダルティな(日活お得意の)無国籍なシークエンスナンバーでつなぎ、チエミの十八番「カモンナ・マイ・ハウス(家へおいでよ)」で大団円を迎える終盤の連続レビューは圧巻、“至福の時”が刻まれている。

轟夕起夫(映画評論家)

ページの先頭へ


バックナンバー





ご注意

お使いのAndroid標準ブラウザではこのサイトを閲覧することができません。
以下の推奨ブラウザをお使いください。